田舎の葬式
葬儀があったので田舎に行ってきた
東京では手順はこんな感じだ
まず葬儀社が死者を湯かんする
特にわれわれ遺族の者にも湯かんの様子を見せることは少ない
湯かんして体を清め旅立ちの衣服に着替えさせて
納棺し祭壇の前に安置する
これが準備段階となる
その日の夕方には通夜式となる
焼香をしてくれるお客様がぞろぞろと並んで
清めの料理に箸をつけてお帰りになる
翌日はだいたい朝から告別式だ
告別式も通夜式と同じような進め方で
焼香台を設けてぞろぞろと並んでもらう
それが終わると遺族から参列してくれた皆様に
お礼の意を込めた挨拶の言葉がありその後出棺となる
霊柩車を先頭にハイヤーやらマイクロバスが連なり
遺族親族と特に故人と親しかった友人が火葬場へと向かう
長い箸で骨を拾い骨壷につめて持ち帰る
家に戻るともう祭壇は撤去されている
料亭から料理をとるかあるいは料亭に出向いて
故人を偲ぶ会といった感じで食事をし
ほぼ2時間程でお開きとなる
これで葬儀一式全て終了なのだ
この間初7日がどうとか二7日がこうとか
相談はするものの
大抵は告別式と一緒にやってしまおうじゃないか
ということになるようだ
田舎では違うのだ
田舎田舎という言い方をすると
地方にお住まいの方に怒られるかも知れないが
私が田舎というのは
古くからの風習が色濃く残っている
農業地域(が多いと思うのだが)のことだ
湯かんを行うときには既に近所に住む親戚一同が
集結していて
湯かん式という形で、皆の前で執り行われる
親戚一同といっても並みじゃない
故人の兄弟配偶者の兄弟は当然としても
いとこはとこ、父の兄弟母の兄弟、果ては祖父母の兄弟まで
続々と集結する
まさに一族郎党といった感じだ
湯かんを行う人間は完全なプロで
その技術たるや度肝を抜かれる
人が何人見ていようとも
絶対に故人の裸をさらすことなく
布団の中ですべてを処理するのだ
1時間前後で
薄化粧して旅立ち姿となった故人が
笑みすら浮かべているのでは、と思える程の顔色で
静かに瞑目しているのを目にすることが出来る
そしてそれを肴に宴会が始まる
自宅の和室を開け放して広くして
行われる宴会は延々と続くのである
通常は翌日告別式火葬と順次執り行い
宴会でほぼ終了となるのだが
今回はちょっとちがった
色々と悪事情が重なって
翌日はまず火葬式となった
前日と同じような顔ぶれが集まり
火葬場へ行って荼毘に付す
帰って延々と続く宴会で終了
さらにその翌日が告別式
お寺に行って長い読経
そのあと宴会場を借りて
またまた延々たる宴会
その内容は些細な違いはあるにしても
そんなに特異とは思えない
違うのは宴会のすごさである
ことほどさように
田舎ではなにか事があるたびに
式を行うのである
式の後には必ず延々の宴会があるのだ
途中でGIVEUPする人は居ない
空ビンと空徳利が置き場もないほど
山と積まれてゆく
冠婚葬祭はとても大事な行事なのだ
普段は極静かな山村
誰もが平凡な農作業を
黙々とこなしている
いざ事が起こると
皆嬉々として(故人には悪いが)集結するのだ
憂さ晴らしで飲む者はいない
嬉々として飲むのだ
そのときの主婦の影の苦労たるや
想像を絶するものがある


















コメント 0