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ありがとう

27年間勤めた会社を1年前に辞めた。定年まで3年を残していた。いわゆるリストラによる人員削減である。理由は私がオーナー経営者より年上だからだそうだ。同じ理由でAさんも辞めることになった。

27年前中途採用で入社した時、「帰りに一杯やってこうぜ」と最初に声を掛けてくれたのが1才年長のAさんだった。それ以来毎晩といってもいいほどにつるんで飲み歩き、お互い妻帯となるまで続いたものだ。

Aさんは自衛隊あがりの猛者で、コアが硬く頑固者だった。一本気で相手が上司だろうが経営者だろうがまっすぐにモノを言う人だった。だから上司や経営者からは敬遠されていたかもしれない。そういう意味では不器用かもしれない。

ある時、酔いに任せての話のなかで、わたしはこう言った。「嫌われてしまったら我々の望みは何一つ達成できないよ。達成するためには、少し堪えてモノ言える立場に立とうよ。もしAさんが先にそんな立場に立つことになったらオレはAさんを助ける人間になるよ。もし逆だったらAさんはオレを助けてくれよ。」と。

何年か後、私は偶然にも独立採算支店の支店長として運営責任を負うことになった。当然私はAさんに私を補佐する立場に立ってもらった。Aさんは私のたった一人の味方として期待通りの仕事をしてくれた。

私と正反対の考えを頭の中に持ったこともあるだろう。私の生ぬるさにいらいらしたことも数限りなくあっただろう。でも常に最終的には私に賛成してくれて、私の目論見を実行に移す現場監督としての任務を担ってくれた。

会社を辞めて一年たつ今でも時々酒を酌み交わすことがある。そのたびにわたしは「ありがとう」の一言を言葉に出したいと思っている。だけど、もう私も若くない。若いころのように心の中のものをストレートに言葉にすることができないのだ。

この心の声を私はSunset Swishの『ありがとう』の唄に託したいと思う。

                                                           

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